ある愛のうた。10






それはある日の朝食時間。
今日のメニューはパン食です。




「む〜‥‥。」
「‥‥藤代?何を一人で唸っているんだ?」
「あ、キャプテン!はよーございまっス!‥‥あ、隣り空いてますよ。」
「ん。‥‥で、さっきから唸ってたようだが。何か悩み事でもあるのか?俺でよければ、相談に乗るが。」
「ん〜?いや、別に‥‥。あ、まぁコレが悩みっちゃ悩みなのかな。」
「どれが?」
「コレっす。」
「‥‥‥‥。パン、とジャム、だな。‥‥というかジャムが多すぎる気がするが‥‥。」
「や、ジャムは乗せすぎなくらい乗せるのが美味しいんです、ってそこじゃなくて!これねー、字が書いてあるんですよ。」
「字?」
「そぉ。」
「あいにく俺はアラビア文字は読めないんだが。」
「‥‥‥‥。日本語っす。」
「ほほぅ、日本語。」
「‥‥一応。」
「一応だな、本当に。」
「‥‥‥‥要は中身!文字!」
「何で書いてあるんだ?」
「『ミカミアキラサンvv』」
「三上?」
「えへへ〜。あのですねー、食パンの上にジャムで好きなヒトの名前を書いてー、右上角から食べるとー!ラブラブになれるんだそうですよぅ!」
「‥‥‥‥誰に聞いたんだ、藤代。」
「クラスで隣りの席の女子。」
「まぁ、女子が好きそうなおまじないではあるな。‥‥何だ藤代?」
「キャプテンが『おまじない』とかゆーの、すんげェ違和感がある‥‥。」
「実践してるお前にだけは言われたくない台詞だな。」
「いいじゃないッスかー!ラブラブー!!」
「判ったから早く食べてしまえ、朝錬に遅れるぞ。」
「ハーイ。と言いたいところですがキャプテン!」
「何だ。」
「‥‥‥‥この文字でオマジナイ、効くと思います?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「むー‥‥どうしよっかなーもう一枚パン食おうかなー。」
「‥‥藤代、ときにお前そのパンは何枚目だ?」
「9枚目ッス!」←もうちょっとで一斤
「お前の今の悪筆じゃ何度やっても山盛りジャムパンになるだけだ、諦めろ。(笑顔)」
「酷ッ!じゃぁキャプテンは書けるっていうんですか?!ジャムで文字がーッ!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥どうだ。」
「‥‥‥‥‥‥すごいー、ちゃんと文字になってるッス。『三上アキラ』‥‥。」
「『亮』はさすがに無理だな。藤代もいつかは書けるようになるから、今日は諦めろ。食堂のパンを食い尽くすな。」
「‥‥は〜い。」
「ほら、早くしないと朝錬に遅れるぞ?俺もこれを食べたら行くから‥‥。」




「‥‥ッて、ああぁあーーッ!!!」(←食堂中に響く声)




「‥‥ったくなんなんだよ朝からー。藤代ウザイウルサイ。」
「中西、落ち着けよ。藤代がうるさくてウザくて俺よりモテててムカツクあまりにたまにコイツが寝てる間に布団の中に人参仕込んでやろうかなとか思うのは、今に始まったことじゃないだろ。」
「‥‥‥‥根岸、そんなこと思ってたんだな‥‥。」
「なんか言った?辰巳?」
「‥‥いや、なんでもない。それより、藤代。」

「あああッ!辰巳センパイーッ!!中西センパイに根岸センパイも!!」

「‥‥何があったか知らんが、落ち着け。な?」
「落ち着いてる場合じゃないッスよっ!!!あああ‥‥ッ!!キャプテンが〜っ!!」
「判ったから。落ち着いて、理由を言え、理由を。」

「あ、アキー。はよー。」
「‥‥おぉー‥‥。」
「お前、朝メニューまたサラダだけかよ、ちゃんと食えよー、もたねぇぜ?」
「‥‥うっせェ根岸、食えねぇモンは食えねぇんだよ。俺にはコレでちょうどいいっつの。」
「ダメダメー、せめてこれくらいは食べときなよ、アキ、冷たいハムなら食べれるっしょ?」←三上の皿にハムを移動
「もー‥‥。(←大人しく移動させられてる)眠ィ‥‥。腹痛ェ‥‥。」
「三上眠そうだなー。また徹夜でもしたんか?ってか腹痛って?」
「徹夜‥‥はしてないけど‥‥。なんか昨日、渋沢につき合わされて‥‥。」
「渋沢?」
「あれ、さっきから藤代が渋沢がどうのとか騒いで、」




三上センパイがキャプテンに食われちゃったーッ!!




ガンガラガッシャーンッ!!!!カラカラ‥‥
↑食堂各所にて響き渡る食器落下音




「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥アキ、渋沢に食われたの?」




「‥‥っ、藤代ーーーーッ!!!朝っからナニぬかしてやがんだテメェェッ!!!!」




割れた食器代と、藤代に食われた余計なパン代と、
三上の拳と藤代の血がとんだ、とある日の朝食時間。




‥‥ついでに『三上が渋沢に乗り換えた』という噂も乱れ飛んだとかなんとか。



劇終。






■アトガキ。(03.13/2002)

三上が渋沢に昨夜遅くまでつき合わされたのは、新作料理の試食。(ありがち)だから眠くてお腹が痛いわけで、べつになんかされたわけじゃないです(笑)
ネギっちゃん初登場。ちょっとしか出てないですが(笑)
口うるさく、ちょっと心配性な彼。
これからもちょこちょこと明るい毒を撒いてもらいます(‥‥。)

占い云々のモトネタは『日ペンの美子ちゃん』。お若い方は知らないかな。どんな困難も字が綺麗というだけで乗り切るという素晴らしい9コマがね、あったんです。雑誌の裏表紙とかにね。
それにしても、同ネタを某所で書いたけれど、なんでこんなにテイストが違うのか‥‥(笑)(そっちは可愛い親子愛。)

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