ある愛のうた。3






夏の日の松葉寮にて。



「センパイセンパイセンパ〜イッvv」
「寄るな懐くな抱きつくな鬱陶しい。」
「ま〜たまたそんなこと言っちゃってvv照れ屋さんなんですから三上センパイはッvv」
「暑ぃんだよテメェはぁ‥‥あー、もー‥‥。」
「三上センパイ抱きしめてたら気持ちいいんですもん〜。」
「あ、そ‥‥。あー‥‥ウザ〜‥‥。」
「酷。ウザイはないでしょぉッ!?センパイだってギュゥッてされんの好きなくせに〜。ついでにえっちも好きなくせに〜。」
「ってゆーか暑いし。いい加減離せって、」
「ヤですぅ。そゆこというヒトには‥‥こうですッ!」
「‥‥ッ!やッ、ちょっと待‥‥ッ痛、」

ちゅ。

「‥‥ッと。出来た、キスマーク〜vv」
「ッテメェはっ!!‥‥あーッテメ服に隠れないとこに痕つけんなって言ってんだろーがッこの馬鹿!!」
「いいじゃないですか、いい虫よけになりますよv」
「はぁッ?!」
「三上センパイ夏になるとなんだかお色気が増すんですよね〜。当社比25パーセント増ってゆーか。(ホントは夏バテでヘタッてるだけ)も〜いろんなトコから秋波おくられちゃって。ま、俺よりイイオトコなんて滅多にいませんけど、やっぱり心配なんスよ?だから、虫よけvv」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「う〜んでも服に隠れないとこに痕つけちゃったのはゴメンナサイです。‥‥お詫びに、服に隠れるトコにもいっぱいつけてあげますね、マークvv」
「詫びになってないぞソレ。‥‥ッてコラ、服に手ェかけんな。」
「え、着たままのほうが燃えますか?じゃ今日はそういう方向ってことでー‥‥。」
「や、そうじゃなくって‥‥ッ、ン、」
「大好きっス、三上センパイ‥‥」
「‥‥ん、ァッ」
「‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ん?」

ぴた。

「‥‥‥‥‥‥藤代?」
「‥‥‥‥‥‥、三上センパイ、なんスか、コレ?」
「‥‥‥‥‥‥?どれ?」
「コレーーッ!!!何なんッスかコレ、この痕ーッ!!!」
「は?」
「鎖、鎖骨の、ちょっと下あたりのッ。いっつもココ舐めたらセンパイが大人しくなってくれるッ、これココこの紅い痕ッ!!俺こんなんつけた覚えないッスよ?!ねぇセンパイッてば!!」
「‥‥あ〜?」
「まままままままさかう、浮気ですか?!俺に飽きちゃったんですかァッ!?」
「や、ちょっと落ち着けって、藤」
「ど、どこが気に入らなかったんですか?!顔良し身体良しセックス超良し次男坊で婿養子にもバッチリ対応☆将来はスター選手間違いなしのッ、この藤代誠二の何処がッ!?」
「だーから、落ち着けっての!!‥‥‥‥虫刺されだよ。」
「ああああああああそんな見え透いた嘘をーッ!!」
「嘘って‥‥、」
「キスマーク!!『おいどうしたんだよその首筋の』『え?虫に刺されたの。』なんつー古代からのお約束言い訳ランキング堂々第2位の言い訳を!!センパイの口から聞く事になるなんてーッ!!」
「(‥‥一位は何なんだろう。)だーかーらーぁ、」
「相手はッ、相手は誰ですか?!もしや渋沢キャプテン?!あのヒト前から三上センパイのこと狙ってたし!!はッ、辰巳センパイとかッ!本命(俺)とはまたタイプが違ってて浮気相手にはばっちりですよね!!‥‥それとも大穴狙いで(何の)間宮とかーッ!?」
「‥‥‥‥‥‥虫刺され。」
「ああ‥‥ッ!そうまでして相手を庇うんですね‥‥。いいんス、それでも俺、三上センパイのことやっぱり愛してます‥‥ッ。過去よりも、今センパイが此処に居てくれるってコトの方が大事だからッ。過去の、過去の誰かのキスマークなんて、俺が潰してあげます‥‥ッ」
「あ、バカッちょっと待‥‥」

ちゅ。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ッ!!!!?」

ドダダダダダッ、バタンッ!!

「‥‥‥‥‥‥ったく、あのアホは‥‥。」

カチャリ。

「‥‥ん?どうした三上。」
「渋沢。」
「何かあったのか?藤代が凄い勢いで走っていっていたが‥‥洗面所の方に‥‥。」
「さぁ?うがいでもすんだろ。」
「??まぁいい、とりあえず釦を留めろ、辰巳が死にそうになっているぞ。」
「ん?よぅ、辰巳。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥よぅ。」
「ほら釦留めて。(←キャプ、釦留め中)‥‥ん?キスマークか、これ?」
「どれ?」(←釦留められ中)
「首筋の。」
「あ〜、それはそう。」
「『それは』ということは、この鎖骨のは違うのか。」
「虫刺され。ったくかゆいったら」
「ああ、三上は体温が低いからもともとあまり虫に刺されないよな。」
「だから偶に刺されたらスッゲー痒いんだよ。」
「クスリは?」
「塗った。‥‥‥‥あ、辰巳〜。」
「‥‥‥‥なんだ。」
「コレ、薬サンキュ。いい虫よけになったわ。」
「‥‥。俺が貸したのは、虫さされの薬なんだが。」
「あ〜、でも虫よけになったんだよ。」
「三上、辰巳に返す前にもう一度もう一度、塗っておけ。」
「は?」
「虫に‥‥じゃなくて藤代に舐められて、薬も落ちただろう?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥舐め‥‥ッ!!?」
「‥‥あ、そういえばそうだな。」
「それにしてもあの藤代の慌て様からすれば、虫さされの薬というのは随分と不味いものなんだな。」
「舐めて見るか〜渋沢?」
「遠慮しとく。」
「‥‥‥‥っと、コレでオッケー。辰巳、サンキュなー。‥‥辰巳〜?」



自分が鴨居に額をぶつけて死ぬのと、目の前のチームメイトたちの会話を聞いて憤死するのと、どちらが早いだろうかと真剣に考えた、辰巳良平15歳の夏であった。



おわろうか。






■アトガキ。

笠井くんはお休みです。
キャプには是非とも釦を留めていただきたくご登場ねがいました。
釦を留めてもらうのってなんかエロくさいと思うのは私だけか。
釦をね、外すじゃなくて留める方。ネクタイとかも締める方。
‥‥ってな発想からできたのが次の初秋編です。


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