You better watch out better not cry better not pout
I'm tell you why santaclaus is comin' to town !
He's making a list and checking it twice gonna find out who's
naughty and nice santaclaus is comin' to town !
The sees you when your sleepin'he knows when you're a wake
he knows it you're been bad or good
so be good for goodness sake Yeah !
You better watch out better not cry better not pout
I'm tell you why santaclaus is comin' to town !
「‥‥つまりは日頃の感情制御を合否基準とした書類選考(二度に亘る確認)、及び広義に解釈した場合の実技試験である指定時間の睡眠という二段階をこなさねばならないわけだな。」
レンガ風のビル壁に凭れた姿から紡がれる、いつもながらの淡々とした声に、肩の触れ合う距離に並んで立ちながら渋沢は少しだけ笑った。
現代日本において、12月は一年の内で最も華やかな季節といっても過言ではない。
葉を落として寂しい様子だった街路樹たちは一斉に光の花を燈し、灰色のビルはクリスマスカラーの光に瞬く。
プロムナードに現れたツリーは星明りを宿したかの美しい光を冬夜空に散らし、行きかう人の腕の中には、色鮮やかなリボンをかけたプレゼントもちらほらと。
凍てつく風は、軽やかで優しいクリスマスソングに彩られて高らかに。
しかし、そんな空気さえもがさんざめくこの季節にあって尚変わらない存在というのも可愛いよなぁ、などと渋沢はぼんやりと思う。
「渋沢?どうかしたか」
「ん、いや。なんでもないよ」
不破くん、と言葉の最後に名前を呼びながら彼の好きな笑顔を返せば、いつもながらの淡い表情に、ほんの僅か柔らかなものが混じる。
自分にだけ見せられる表情があるというのは思いの外嬉しいものなのだと、不破と出会って初めて知った。
「しかし、なかなか厳しい基準だ」
どこからか流れてくる、クリスマスには定番の曲に二人して耳を澄ませる。
ハスキーな女性ボーカルはラブソングめいた甘さを纏っている。サンタを夢見るこどもたちに言い聞かせる、そんな歌詞の内容を鑑みればどうかとも思うが、これはこれでいいのかもしれない。
「そうかな、簡単だと思うけど」
泣いたり拗ねたりしないでと歌う声。
サンタクロースはお見通しなのと、甘く囁くように。
「む、‥‥そういえばお前は寝つきがよかったな」
「はは、それもあるけど、そうじゃなくてさ‥‥」
冬の道を行きかう人の波は止まることなく、降るような灯りを受けて瞬きながら流れていく。
クリスマスカラーの灯りが光の粉を撒いたように街全体をまたたかせている。
遠く聞こえる、甘い声のクリスマスソング。
「渋沢?」
名前を呼ぶ、自分のためだけ、甘い恋人の声。
「こうして好きなひとと過ごせてるのに、泣いたり拗ねたりできるわけないよ」
ねぇ?と、『好きなひと』の顔を覗き込みながらにっこりと笑えば、普段の表情に少しだけ驚きを乗せた目にかちあって、その後ふいっと逸らされた。
その横顔は既にいつもの淡々とした表情に戻っていたけれど、少し赤みの差した目の縁に、やっぱり可愛いよなぁと、渋沢は改めて思ったものだ。
遠く聞こえる、甘い声のクリスマスソング。
歌詞にそぐわないかもしれない甘い声も、こうして恋人と過ごしている自分にはちょうどいいのかもしれない。
end.(2005.12.22)
backgroundimage by [MICROBIZ]
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