「あのねケースケくん聞いて欲しいんです」
「なに、」
今現在、俺は、コイツが途方もなくバカなんじゃねぇのかと考えている。
どうしようもないなぁとも、考えている。
「クリスマスと言って思いつくものってたくさんあると思うんだけど、例えばクリスマスツリーとかリースとかケーキとかサンタクロースとか。サンタつながりでトナカイとかプレゼントとかケーキとか‥‥あ、ケーキはもう言ったっけ、じゃぁチキン。ケンタッキー。いやケンタッキーはチキンだけ売ってるわけじゃないんだけどね?ていうか売り切れてたしチキン。なにもパーティバーレル買おうってんじゃないのに1本2本くださいってだけなのにそれさえ売り切れってありですか!?確かに日付も変わろうって時間ならもうどうしようもないのかなーああ違うチキンの話がしたいわけじゃなくて」
「うん、俺もチキンの話したいわけじゃない」
例えば同じカテゴリーで召集されたときとか、クラブで対戦するときとか。
そんなときに見るこの男はそれはもう落ち着いていて、余裕綽々って感じで、そのくせ切れ味鋭くて。信頼感ていうか安心感?とか、そういうの。そういうのが、すごくあってとても大きく、実際のタッパがどうってよりも大きく、大きくて賢く。そんな存在に見えるのだ。それはもう、とてもとても。
だから、間違ってもこんなふうに、いかにも慌てて、周りも見ずにとにかく慌てて走って、息切らして真冬に汗浮かべて人ン家のピンポン連打した挙句にプレゼントなくしてさらに慌てて玄関先でアワアワしながら言いワケしてるのとかなんだかもう、‥‥何なんだ、とか思うのだ。
「プレゼントもちゃんと買ったんですよそしてちゃんと手に持って家を出た、これはもう確実なことなんだでもこれが!ココ聞いて欲しいんだけど!ネタじゃなくて聞いて欲しいんですよさっきまでこの手に確かにプレゼント持ってたんだけどこれがどういうわけか!誰かの書類になっちゃってたんですよー何かの企画書っぽいしかも提出の締め日って今日になってるあたりもうこれどうしよう、企画書、じゃなくてプレゼント、ああもうクリスマスプレゼントだったのに本当どうしたら」
「あのな須釜、」
本当にコイツはバカなんじゃないのか。
「別にどうもしなくていいから、こういうときは」
そしてこのバカが好きな俺も、やっぱりバカなんじゃないのか。
「ギュッてしてチューでもしてメリークリスマス!って得意の笑顔で押し切っちまえばいいんじゃね?」
「‥‥ううう、ケースケくーん」
泣いてるんだか笑ってるんだか、たぶん自分でもワケわかんなくなってしまってるんだろうけれど、デカイ男に縋りつかれて実はちょっと苦しいんだけど(でもバランス崩さないのは日頃のトレーニングの成果だ、やるじゃん俺)、‥‥でも、もう、
「‥‥メリークリスマスー」
「ハイハイ、メリークリスマスな」
どうしようもないなぁって、それでもいいなぁって。
ああもう、本当に俺らバカだなぁと、考えるのだ。
(もうバカで結構です、ってね!)
end.(2005.12.25)
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