松葉寮もあと2週間あまりで退寮だ。思えば長かったようで短かった寮生活だった‥‥と言ってもこのあとすぐに高校の寮に移るのであって、まだまだ寮生活は続くわけだが。まぁ、そこはそれ、気分の問題だ。それに、
「‥‥三上と同室もあと僅か‥‥。」
「渋沢先輩、先輩ってば。」
ん?なんだ笠井?‥‥ああスマンスマン、引継ぎの途中だったんだよな。引継ぎと言っても寮長は辰巳だったわけだし俺と一緒に引継ぎ作業をしても役には立たないと思うぞ?
「ええ、辰巳先輩にはもう寮長の仕事の粗方の説明は受けていますから。」
ならば必要ないんじゃ‥‥。
「いえ、せっかくですからキャプテ‥‥いえ渋沢先輩からのちょっとした引継ぎも必要だと思うので。お気になさらず、ただ寮内を案内してくれるだけでいいですから。」
そうか?まぁいいが。三上も出かけていて、暇だしな。‥‥と、生徒居住区はここで最後だな。後は空き部屋だけど。‥‥空き部屋をたまに使うと、三上が微妙に違ってて良かったよな‥‥。アレか、普段とは違うところですると萌えるとかいうやつか。いつもより感度が良くて‥‥
「鍵はどうしてたんですか?」
「ああ、あの部屋は鍵がかかってるように見えるけど実は立て付けが悪くて開けにくいだけなんだ、だから‥‥ホラ。」
「‥‥あ。なんだ、鍵自体がなかったんですね。」
まぁ其れを知ってたのは俺と三上と、辰巳くらいだろうな。‥‥ん?どうした笠井?‥‥メモ帳?
「なんでもないです、次行きましょう。」
屋上か。屋上の鍵は警備会社と連動してるので、毎晩きちんと閉めるのは寮長のつとめだぞ。頑張れ笠井。
「でも渋沢先輩、たまに夜中に屋上使ってましたよね?どうやって?」
「あれ、バレてたのか?‥‥まぁ、ちょっとした裏技があってだな‥‥。」
これは俺と三上だけしか知らないと思うのだが。ここの鍵は先ほどもいったが警備会社と連動していて、夜一度閉めたら次の日の朝定刻までは開かない事になっている。もしも開けたらドアの開閉と外に張ってある赤外線探知機にひっかかって、警備会社がすっ飛んでくるのだけれど、ほら、コレ。
「‥‥ん?これって、マンションとかの出入り口に設けてあるパスワード認識用のタッチパネルですか?こんなのあったんだ‥‥。」
「隠してあるからな、皆は知らないと思うけど。」
6桁の暗証番号入力で、5秒だけ探知機や警報機がシャットダウンされるんだ。その間に、外に出る、と。
ちなみにパスワードは三上が割り出した。どうやってかは俺は良く知らないのだが‥‥。どうやったんだろうな?すごいよなぁ三上。初めて夜中に屋上に連れてこられたときはどうするのかと思ったら、あっという間にドアを開けてしまって。そのときの得意げな顔と来たら凄くすごく可愛くてなぁ。‥‥外でするのもたまにはいいかなと。‥‥ん?どうしたんだ笠井?何をメモってるんだ?
「なんでもないですよ。さささ、次行きましょう!そういえば他にも三上先輩、そとに抜け道とかありましたよね?」
ああ、それはだな‥‥。
ちなみに渋沢達第○期生が松葉寮を退寮後、寮では大規模な改変が行われた。鍵の付け替え工事と警備会社の総入れ替え、その他諸々である。
「俺がいる限り、松葉寮の風紀は乱しません。」
ニッコリ笑顔で頼もしきかな、笠井竹巳新寮長。
その手に輝く、ひみつメモ。
end.(04./2002)
笠井くんの誘導尋問。上手くかけていませんが(殴)
松葉寮日誌は、多分書くたびにカップリングが違うと思うので、気をつけてくださいね。
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