誠二と三上先輩は、恋人同士。
恋人。コイビト。カレシカノジョのお付き合い。
‥‥二人とも男だからカレシカレシか?
や、そんなことはどうでもよくて。
踊りだしそうに浮れまくった誠二から最初聞いたときは、さすがに驚いたね。
だって、あの誠二がだよ?
あの三上先輩と?
コイビトだって?

なんかの冗談かと思ったね。

そりゃさぁ、誠二が三上先輩に懐きまくってんのは知ってたよ。
会う度に花でも散らしてそうな勢いですっとんでって、抱きついてたし。
オマエレーダーでも付けてんのか?って感じに、すんごい遠くにいる先輩見つけては、手ェブンブン振りまくった挙句に大声で先輩の名前連呼してたし。
この前なんて、ちょっと先輩が食べたいなーとか言ってたコンビニお菓子、わざわざ寮母さんにチャリ借りて隣りの区のコンビニまで行ってたし‥‥。

でもだからって、恋人?
納得いかないっていうかなんつーか。

「あれ竹巳〜。なにしてんの?」
「電話番。」
「ふーん。俺、コンビニ行ってくるけど、なんかいる?」
「あー‥‥、えびせん買ってきて。100円のヤツ。」
「オケ。」
「‥‥‥‥なぁ誠二。」
「あ?他にもなんかあった?」
「お前、三上先輩のどこが好きなわけ?」
「優しいところと、甘えてくれるところ。‥‥んじゃいってくんねー♪」

優しいところ。
‥‥抱きつくたびに蹴り剥がされるのが?
甘えてくれるところ。
‥‥‥‥っていうか都合よくパシらされてるだけじゃないの?

でも二人はコイビト同士。‥‥世の中って判んねぇ‥‥。

「‥‥ん?笠井?あ、今日お前電話番だったか。」
「あ、先輩。」

せっかくの休みなのにツイてねぇな〜、っていう三上先輩は、そのままスタスタと俺の詰めてる舎監室に入ってきた。

「お電話ですか?」
「ん、いや‥‥。藤代、何処居るか知らねぇか?」
「さっきコンビニ行くって出て行きましたよ。」
「ああ?‥‥ったくタイミング悪ィな。MD‥‥。」

あれ、またなにか頼むつもりだったのかな。
ほら誠二、やっぱり使われてるんじゃん。
三上先輩も買物くらい自分で行けばいいのにさぁ。もぅ‥‥。

「‥‥なんなら俺、行ってきましょうか?もうちょっとで電話番、終わるし。」

仕方ないよなぁ、体育会系のノリとしては、俺が行くしかないじゃん、この状況って。

「あ?いいよ、悪ぃだろ。」

あれ。

「んじゃ、ちょっと出てくるわ。あ、笠井なんかいるモンあるか?」

‥‥あれあれ?

「え、あ、特には‥‥。」
「そか。まぁいいや、電話番ごくろうさんってことで、茶くらい買ってきてやるよ。じゃ、いってく」
「みーかみセーンパーイvv」

玄関から走りこんで来た誠二が、ドカァッ!と先輩にチャージ‥‥もとい抱きついてきた。
‥‥誠二誠二、先輩潰れるって。その勢い。

「ッてぇっつの!このバカ代!!」
「あ、竹巳コレえびせん〜。」
「え、あ、ありがと。」
「テメ、ヒトの話聞‥‥っ!」
「んでセンパイにはコレですー、ハイッ♪」

そういって、怒鳴りかけの三上先輩に誠二が手渡したのは‥‥あれ、MD?

「先輩昨日切れたっていってたっしょ。買ってきました。」
「え、ああ‥‥。」

ニコニコ笑う誠二に、毒気を抜かれたみたいに三上先輩が答えてる。
そして、俺はあることに気がついた。

「‥‥誠二は、なにも買ってないわけ?」

俺にえびせん渡して、三上先輩にMD渡して。そして誠二は何も持ってなくて。

「うん。だってMD買いにいったんだし。」

俺は三上先輩を見た。‥‥で、すぐに目、逸らした。
先輩は、ちょっと困ったような、不貞腐れたような顔してて、でもちょっと頬を赤くして‥‥それから、

一瞬だけ、本当に一瞬だけ。笑った。

「あれ、三上センパイなんで外靴なんですか?」

その笑みは、誠二が三上先輩に視線を移した途端消えちゃったけど。

「っせぇな、どうでもいいだろ。」
「あれ、もしかしてこれからコンビニ行くつもりでした?!ああ〜っ、もうちょっと待ってたらセンパイとコンビニデートだったのにーッ!!」
「あーもー!うるさいってのバカ!!」
「センパイどこいくんですかー?」
「‥‥コンビニ。」
「あれ、MD以外にもなんかありました?言ってくれたら俺買ってきたのに。」
「うっさい。笠井に頼まれた茶、買ってくるだけだよ。」
「一緒に行きますーvv」
「‥‥勝手にしろよ。」
「あ、竹巳ー、ごめんなお茶も要るんだったんだな。ちゃんと聴いとけばよかったのに。」
「‥‥別に。」
「まぁいいや、お陰でセンパイとコンビニデート出来るしvサンキュゥな〜vんじゃ再びいってきまーす♪」
「‥‥‥‥。」

頼んでも無いお茶を買ってきてくれる先輩。

浮れた誠二からの御礼。

外靴をはいてから舎監室にきた先輩は、最初からコンビニに自分で行くつもりだった。誠二と一緒に。

先輩の笑顔。

二人はコイビト同士。
冗談じゃないかと思ったけれど。

『‥‥誠二、先輩の何処が好きなわけ?』
『優しいところと、甘えてくれるところ。』





二人はコイビト同士。
ちょっとだけ、納得した。




end.(05.03/2002)

笠井くんです。藤三を語らすときは彼か中西かどっちかにしようと思ってました。
中西版も書けたらいいなぁ。

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