『今日は、皆で電器屋に行きました。』(某月某日、松葉寮日誌個人コメント欄より)



「‥‥ね、笠井。もういい?」
「え、ちょっと待ってよ。何か凄い、ペース早いんだけど。」
「だって‥‥。」
「無理して壊されちゃったら、ヤだよ、俺。」
「でもさぁ‥‥もうココ、こんな風になってるしさ。」
「あ‥‥。」
「欲しがってんだろ?やっぱり。」
「ん、でもほらあんまり慣れてないから、少しづつ‥‥。ね?」
「え〜っ、なぁなぁ、タクってば、お願いだよぉ。」
「んー‥‥でも、もうちょっとだけ待って。」
「そんなぁ、いいじゃんもう‥‥。ね?俺もう我慢できない。」
「もぉ、誠二ってば、仕方ないなぁ。‥‥いいよ、イれて。ゆっくりね。」
「やったぁvvそれじゃ‥‥」




「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥お前たち。」




「あれぇ?辰巳センパイじゃないッスか、いつ此処に来たんスか?」
「どうかしました?先輩。確かMDプレーヤー買うとかって言ってたのに。」





自動製氷機の前でヒワイな会話をするな‥‥。」





4F家電コーナー。 『本日のデモンストレーション』は自動製氷機能付新型冷蔵庫。
水道水を給水すればイオン効果で純度の高い氷を自動で作ってくれるらしい。
設置の際には配水工事にて上水道から自動給水出来るのであるが、売り場ではより実感していただく為にデモ機横のペットボトル入りの水を客が直接給水する、という寸法になっている。

「あ、誠二もういいんじゃない?水、入れて。」
「うわ〜いvv氷、氷ー。」

燦然と輝く給水ランプと、液晶表示での『給水してください』の文字が、辰巳には眩しかった‥‥。








「渋沢。ちょっと、話があんだけど。」
「ん?なんだ三上、改まって。」
「俺、さ‥‥。」
「う、ん?」
「‥‥俺、お前のこと、すっげ尊敬してる。」
「え、」
「お前、部のこととか寮内のこととかさ。いつだって真面目に、真剣に取り組んでんじゃん。どんな試練、ってか困難でもさ。前向いて、一生懸命に対処してるよな。俺、お前のそういうとこ、凄いっていつも思ってるんだぜ?」
「み、三上‥‥。」
「いつか俺、お前にちょっとは手ェ抜けばいいじゃんって言ったけどさ。そしたらお前、仕事だからって、笑って全部きっちりこなしてたよな。‥‥凄ェなって思った。俺なんか、適当にこなしときゃいいじゃんとか思ってたのに。俺と同い年とは思えねぇくらい誠実でさ‥‥。」
「‥‥三上、」
「お前、凄ェよ。そういうの。大人びてて、クールでさ。格好良いっていうか‥‥。一人前のオトコ、って感じ。」
「‥‥‥‥ッ、」
「俺‥‥お前のそういうトコ、結構‥‥好き、だぜ?」
「ッ、み、三上実は俺も‥‥っ、」
「それでな!俺、今凄ェ悩んでんだ、実は。」
「‥‥え、悩み?」
「本当はさ‥‥自分一人で解決しなきゃいけないってことは解ってんだ、これは俺の問題だから。でも‥‥俺にはまだ‥‥このハードルは、高すぎんだよ‥‥。」
「‥‥三上。」
「‥‥‥‥ん?」
「どんなに高い壁だろうと、その果てがないことは、決してないんだ。いつか越えられる、そんな場所が必ずあるし、その時は必ず来るよ。」
「解ってる!解ってんだよ、でも‥‥今の俺じゃ‥‥。」
「じゃぁ、三上。一人では駄目かもしれないけれど、皆の‥‥俺の、力を貸すことは出来ないのか?お前は決して一人じゃないんだ。俺達には、仲間がいる。一人では駄目かもしれないことだって、力をあわせればなんとかなるかもしれないじゃないか。‥‥それに、」
「‥‥それに?」
「‥‥俺は三上の力になりたい。お前の為に、出来る限りの力を、貸してやる。」
「渋沢‥‥ッ、」
「みか‥‥」




「そんじゃ、コレ頼むわ。」




「‥‥え?」
「大丈夫、お前なら楽勝だノープロブレム。あ、コレ金な。」
「‥‥‥‥え?」
「んー、18禁くらいなら俺もなんとかイケんだけどよ。さすがにこのレベルになるとちょっと足りんわ。ハードルが高ェ。せめてもう2、3年経たねーと。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「大丈夫!その落ち着きその容貌。お前なら年齢照会なくてもイケる!というわけで渋沢、レジは向こうだ。あ、因みにこの階の店員、美人のねーちゃんが多いから。頑張ってきてくれ。それじゃっ!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」




6Fパソコンソフトコーナー。
渋沢の手元には、無駄なほどの照明をうけて輝くゲームソフトのパッケージ。
スタスタと優雅な足取りで去る愛しい人の後ろ姿を追う『クールで大人びてて同い年とは思えない、一人前のオトコって感じ』の渋沢の目には、涙が浮かんでいたとかいないとか。

24禁エロゲーソフト購入、本日の渋沢の試練は、これからである。




end.(03.24/2002)

お買い物編。特にカップリングはない‥‥のか?(え、疑問系)中西ネタも書きたかったなぁ。
中西はですね、オーディオ売り場におりますのよ。
ところで24禁エロゲーって普通に売ってるものなのかね、知らないぞ。