横合いから伸びてきた腕に、左の手首を持っていかれる。
身長にみあった大きな手の感触、今更誰のものだなんていうほどバカじゃない。
‥‥なのに、コイツときたら。
「ケースケくんて、生命線短いですよねー。‥‥痛い!」
「当たり前だ殴ったんだから。ていうか殴って「痛い!」じゃなくて「嬉しい!」とか言われても困るし俺。ごめんなスガ、そういうのなら他当たってくれよ」
「ちょっと待ってケースケくん、勝手に僕におかしな趣味設定しないでくださいってば」
殴ったほうの手首をヒラヒラと振りながら振り向き、少しだけ高い位置にある顔に一瞥をくれてやれば、殴られた頭をさするスガの、やや苦笑気味の笑顔にぶつかった。
そこで、俺もニッコリ笑ってから会話スタート。
「ここで須釜君に質問です。」
「はいどうぞ」
「俺はお前の何で、今日は俺の何の日だ?」
「ケースケくんは僕の大事な恋人で、今日はケースケくんのお誕生日ですねv‥‥ッだから痛いってば!笑顔が逆に怖いってば!」
「その大事な恋人が迎えたお誕生日当日に生命線が短いとか不吉なコト抜かしやがる須釜くんには恋人から拳のプレゼントだありがたく受けとっとけ。あ、笑顔はサービスな?」
我ながらよく噛まずに言えたと感心するような長台詞を一息で言いきって、本日二発目の拳骨をふるった右手を、再びヒラヒラと振った。ああ、俺ゴールキーパーじゃなくてよかった。
「事実をいっただけなのにー」
「まだ言うかこの口は」
と言っても、さすがに三連続の拳骨は辛い。スガの頭が、じゃなくて俺の右拳が、だが。‥‥と、なれば。
「左手、離せよ」
「駄目。離したら殴るでしょう?」
「よく解ってんじゃねぇか、さすがスガ!」
「ねぇそれ褒められてるんですか?」
「すっごく褒めてます、ってわけで離せ」
「イヤですよ!ていうかココで離したら僕殴られるの待ってるみたいじゃないですか。」
「え、待ってんじゃねぇの?」
「だからケースケくん、僕におかしな趣味設定つけないでくださいってばー」
「離せ」
「駄目ですv」
手を掴れたままで交わす、他愛の無い会話。
大きな手のひらに包まれた手首だけ、少し冷たい秋風から避難しっぱなし。
「っつーか、なんでいきなり生命線?」
「うん、あのね昨日気がついたんだけど、僕って生命線が長いんですよねー」
「うわぁ納得。お前無駄に生命力ありそうだもんな」
「なんだか微妙な言い方だなぁ。いいけど。で、ケースケくんは生命線短いでしょう?」
「まぁな。」
「ちょうどいいなって思って。」
「は?」
「これからもずっと一緒にいるんだから、足して割ったらちょうどいい長さになるじゃないですか。」
ニッコリ笑顔で締めくくったスガに、俺は言葉を返さなかったので会話はここで終了。
バカバカしくって甘ったるくてスガらしい、なんだかもうあんまりな台詞に4度目の拳を振るおうかなとちょっとだけ考えたけれど、それは止めて本日一度目のキスをした。
「誕生日おめでとうございます、ケースケくんv」
つかまれたままの手首、馴染んだ大きな手。
掴んでくる手のひらから伝わる熱は、本当は嫌いじゃないと言ってやろうかと思ったけれど、それはとりあえず二度目のキスが終わってからの話。
end.(10.11/2005)
萌え要素は野外、手首わし掴み、って辺りです。
トップオブスター、ケースケくんおめでとうSS。
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