「はい、どうぞ。」
コトリと置かれる小鉢を、なんとなく見やる。
綺麗に盛り付けられた炊き合わせは、季節に合わせて大根がメイン。綺麗な花麩が彩りを添えて、可愛らしくてちょっと可笑しかった。だって製作者のイメージとあんまり違っていたから。‥‥いや、ある意味合ってるのか?あれ?
「え、なにか可笑しいか?」
「あぁ‥‥うん。なんでもないです。ありがと、渋沢さん。」
不思議そうに眉を寄せているその人に、さっきとは違った笑みを添えて言葉を返せば、ふわりと解いた眉と、優しい笑みをくれた。
そういう顔されるとますます笑いたくなって、でも此処で笑ったらヘンかなって思うから、笑わなかったけど。ちょっと苦労した。
笑うのって本当は得意じゃない。
クラスの女子とかにも、いっつも無愛想だね、とか怒ってる?とかよく言われるし。まぁ別に、無理に笑ってまで愛想良くしよう、なんて思ってないけどさ。
でも、なんかこの人の前じゃ不思議と笑えてしまうんだ。あ、結人や英士の前でもよく笑ってるっぽいけど、多分この人の前には敵わないんじゃないのかな、とか思う。それどころか、笑うの抑えるの大変、なんて思ってしまったり。
本当、ヘンだなとは思う。いっつも。
「‥‥あ、美味しい。」
「そうか?良かった‥‥実はな、今日は自分でも自信作なんだ。」
そう言って、照れたようにその人が笑った。
今日の材料はコレコレこういう感じで‥‥なんて説明してる顔。俺が褒めたからかな?ちょっと得意げだったりしてさ。
GKっぽい、大きな手で頬とか掻きながらさ。
‥‥あ、駄目。そういう顔見てると、やっぱり笑いたくなる。
俺、ちょっとおかしいって。本当。
「‥‥ヘンなの。」
「え、ど、どこかおかしかったか?!」
ポツリと呟いた言葉に慌てた様子で反応してくれるその人に、本当笑いが抑えられなくて。
「あ、違う違う。おかしいのは俺だから。」
でも笑ったら悪いかなって思ったから、そう言い置いて、慌てるその人にテーブル越しにキスを仕掛けた。
その人は一旦大きく瞠目したけど、それから目を閉じて深いキスで返してくれたから、多分笑ったのは気づいてないと思う。よかった。
本当、俺、渋沢さん見て笑う癖、どうにかしないといけないと思う。
だってヘンだしさ。
その後は、笑ってる暇なんてないこと、二人でしたんだけどね。
end.(02.13/2003)
渋真はお食事風景が基本です。そして無駄なほどにラブラブです。