夕暮れの街を二人、歩く。

「永遠の強さの象徴。」
「え?」

不意に呟かれた言葉に、振り返って瞬きを返した。

「何?」
「お前の、」

夕暮れ間近の街は潤んだような水紅色で、彼の表情を紗幕の向こう側に隠している。

「名前。」
「俺?」

頷いた拍子に揺れた髪の先は、綺麗な紅色。

「そういう歌が、ある。」
「ふぅん。」

静かな水音にも似た彼の声は、潤んだ世界に酷く鮮烈だ。

「そのとおりだと思う。」
「そんなことないよ。」

そう言って笑った。彼の表情はやはり夕闇の向こう側にあった。

「‥‥全然、そんなことないよ。」

そうして二人はまた、夕暮れの街を歩く。

 

 

 

 

もしも俺にこの名の如く永遠の強さがあったなら、彼の手を取れていただろうか。

 

 

 

 

end.(01.27/2003)

SIMON & GARAFUNKEL。‥‥や、セージだから(笑)
手を取り合うことなく終わってしまう、始まりさえもない、もしくは始まりを認めようとしない二人。
それぞれ別の人を別の道を選んで、幸せにはなるのだけれども、けれどあの日のあの夕暮れの一瞬を思い返す、そんな恋もあります。

プチ解説※『scerborough fair』の一節、parsley sage rosemary and thyme より。パセリ、セージ、ローズマリー、タイム。ハーブの名前です。歌詞の上で語調を整える美しい文章であり、暗喩である部分。諸説ありますが(※大麻の隠語だとかなんだとか)、パセリは『不安』『よくない事』、ローズマリーは『愛、親愛』、タイムは『勇気』喩えており、そしてセージは、『永遠の強さ』の象徴だと言われています。