「永遠の強さの象徴。」
「え?」
不意に呟かれた言葉に、振り返って瞬きを返した。
「何?」
「お前の、」
夕暮れ間近の街は潤んだような水紅色で、彼の表情を紗幕の向こう側に隠している。
「名前。」
「俺?」
頷いた拍子に揺れた髪の先は、綺麗な紅色。
「そういう歌が、ある。」
「ふぅん。」
静かな水音にも似た彼の声は、潤んだ世界に酷く鮮烈だ。
「そのとおりだと思う。」
「そんなことないよ。」
そう言って笑った。彼の表情はやはり夕闇の向こう側にあった。
「‥‥全然、そんなことないよ。」
そうして二人はまた、夕暮れの街を歩く。
もしも俺にこの名の如く永遠の強さがあったなら、彼の手を取れていただろうか。
プチ解説※『scerborough fair』の一節、parsley sage rosemary and thyme より。パセリ、セージ、ローズマリー、タイム。ハーブの名前です。歌詞の上で語調を整える美しい文章であり、暗喩である部分。諸説ありますが(※大麻の隠語だとかなんだとか)、パセリは『不安』『よくない事』、ローズマリーは『愛、親愛』、タイムは『勇気』喩えており、そしてセージは、『永遠の強さ』の象徴だと言われています。