見つめられているときに、目を絶対に遣らない。
アイツが欲しがっている本を実は持っているのだけれど、貸してやらない。

そういう些細な、小さなこと。

「三上はひねくれ者だなぁ。」
「腹黒なテメェには負けるがな。」
「たまには素直になってやればいいのに。」
「ぜってェ、イ・ヤ・だ。」

眉を顰めてそう言えば、同室者はくつくつと笑った。
ムカつくので蹴りを入れてやる。阻まれたけど。

たまには素直に?そんなのダメだ、ダメダメ。そんなことしたら、

目線が合わないからって焦れて俺の膝に乗ってきてなんかくれなくなるし、
本を読む為に毎日毎日はるばる俺のところまで通ってきてくれないじゃねぇか。

「‥‥三上は可愛いなぁ。」
「お前に可愛いなんざ思われたくないし。」
「じゃぁ、けなげな不破を可愛いなと思うのはいいのか?」
「駄目。アイツを可愛いと思っていいのは俺だけ。」

ますます笑い出した同室者に、今度こそ蹴りを入れた。
それでも笑い続けやがったから、力任せに部屋から追い出してやった。

携帯が鳴った。

『三上?』
「ん、何だよ。」
『‥‥、別に、なんでもないが、』
「ふぅん‥‥あ、そういえばこの前の本の続編買ったんだっけ。」
『む、本当か?‥‥三上、』
「貸してはやんねぇよ。」
『‥‥‥‥、今日其方に行ってもいいか?』
「好きにしろよ。」

見つめられているときに、目を絶対に遣らない。
アイツが欲しがっている本を実は持っているのだけれど、貸してやらない。

そういう些細な、小さなこと。

けれど、

膝の上で、あわせてきた視線に先にキスを仕掛けるのは俺のほうで、
アイツが読みたがりそうな本をいつも考えて一生懸命探してるというのは。

あの聡い同室者に知られたら、また笑われるに決まっているから、絶対言わないのだ。




end.(08.20/2003)

なんのかんの言いつつ不破にメロメロな三上と、三上のことが好き過ぎる不破。
三不破の場合は不破から告白でもいいなぁと思います。

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