ある冬の、帰り道。




冬の宵闇は、常より深くて澄んでいる。
ついた吐息は白く靄って、辺りに溶けて散っていく。
透き通った闇に溶けていく白は、酷く綺麗。
それがなんだか楽しくて、何度も息をついてみたりして。

「なぁにやってんの、オマエ。」
「あ、センパイセンパイ、ほらほらッ、息白いッスよ!スゲーッ、寒ーッ!」
「‥‥、ガキかオマエは。ったく‥‥。」

コドモみてェなの、そういって笑ったその人の口元。
闇に溶けていく白が、酷く綺麗だったから。

「‥‥‥‥。何、突然。」
「え、だって綺麗で勿体なかったから?」
「疑問系で訊き返すな、バカ代。ったくもぉ‥‥。」

掠めた口唇、漏れる吐息は、闇に溶ける、綺麗な白。

闇に溶ける、白くて綺麗なその人が、本当に好きだなぁと。
ちょっと改めて思ったりして。





そんな、ある冬の、二人の帰り道。





title/『帰り道・冬闇』
end.