「Hi、気持ちの良い日だね。ベーグルを4つ頼むよ!」









ニューヨークの午後は今日も快晴。
見上げればビルの向こう、鮮やかなスカイブルーにぽかりと浮いた真っ白な雲。‥‥なんだか食べたら美味しそうだな、あの雲。
味の予想は、うん、きっとすっごくスウィートだ!ふわっふわで甘くって、もこもこしててもしかしたら食べにくいかも?そしたら、二人で半分ずつにすればいいよね!うん、名案。‥‥うん?あれ、でも、もしかしたら。
彼は甘いものが好きだから、一人でぺろっと食べちゃうかも。
彼ときたら本当に、メイプルシロップ大好きだし。
おかげで俺もパンケーキにもコーヒーにもメイプルシロップって慣れちゃったよ。むしろないと気になっちゃうんだ。どうしてくれるんだい、まったく!
責任とって一緒にいてもらうんだぞ!‥‥なーんてね、アハハ。

アパートメントへと続く、通いなれたストリートを歩く。ステップにあわせて腕に携えた紙袋の中身が揺れる。
茶色い紙袋には、この辺じゃ一番美味しいって評判のベーカリーのプリントロゴ。ポップなピンクのアルファベットが、香ばしいベーグルにほんのり甘さを乗せてる気がするよ。そういえば、彼の家のベーグルはなんでか甘かったっけ?彼のことだからまたどうせ、ハニーとかメイプルシロップを入れてるんだろうな!
でも、ここのベーカリーのニューヨークベーグルもすっごく美味しいんだぞ!きっと彼も、気に入るさ。
気に入ってくれたら、いいな。
美味しいねって笑う、彼の笑顔を見ながら食べたいな。

ストリートを歩くスニーカーがキュキュッと軽快な音を立てる。
白く粗めのコンクリート舗装、ところどころに石が混じって雨を落としたみたいな模様をしてる。ほんの少しのでこぼこは、けれど履き慣れたスニーカーだとちょっとしたアクセント程度。昔やってた飛び石遊びみたいに、逆にリズムがついていいんじゃないかな?
ああ、きっと彼だったらコケちゃうだろうけれど。
でも平気さ。だって彼がこのストリートを歩くときは、俺が必ず傍にいるからね!
のんびり屋でおっちょこちょいな彼が、ふわぁ、なんて暢気な声を出してコケかけたとしても、すぐに助けてあげられる。
助けてあげられる場所に、俺は居たい。
‥‥居るんだって、決めたから。

だって彼は、




「Hi、アメリカ。おかえり。ゴメンちょっと早く着いちゃって‥‥って、うわぁ?!」




通い慣れたストリート、でこぼこなんて気にならない。
腕の中には美味しいベーグル、君と一緒に食べる為。
ニューヨークは今日も快晴、俺のアパートメントの玄関先に立ってる彼、ニューヨークのスカイブルーと同じくらいに綺麗なウォーターカラーの瞳が驚いてまんまるになるのを、走り幅跳び並みのロングステップで一気に捕まえる!









「ハロー、カナダ!会いたかったぞ!」









腕の中、甘い匂いの甘い彼。
笑顔を見せてよ、ずっとずっと一緒に居よう?









だって君は、俺の恋人なんだから!









 Fine day Honey day





the end.(2009.05.30)

「‥‥‥‥うん、大丈夫今日こそやれる、今夜こそ決める、シーツもコーヒーもベーグルもオッケー
‥‥ん?ゴム置いたの3番目の引き出し‥‥いや2番目‥‥?」
「‥‥もう、君はまったく本当にいつもオーバーアクションなんだから‥‥、って、アメリカ?聞いてる?」
「うわぁ?!ああ、き、聞いてるぞ今日もいい天気だね!!」
「‥‥‥‥。明らかに聞いてないだろ、君。まったくもう。
ところでアメリカ、それなぁに?パン?あ、今日のおやつかい?なら僕コーヒー入れて、」
「いや!これは違うんだぞ!すっごく美味しいベーグルだけど今は食べちゃ駄目なんだぞ!!」


そんなこんなのメリカ勝負日。
ベーグルの袋の中にはコーヒーショップで買ってきた挽きたての豆も入ってるんだぞ!
まぁ、結局翌朝カナダさんに一人でベーグル食べられちゃうんだけどね!(´∀`)