※人名パラレルで、独加です。ドイツ=ルートヴィッヒ(ルート)、カナダさん=マシューさん
※マシューさんちには犬がいます。名前から想像してください(笑)
※2009.06.26開催の独加公認(笑)記念シロクマカワイイ絵チャが元ネタです














※OK?














爽やかな朝っていうのは、それだけですっごく幸せなことだって思う。




窓から零れてくる朝日、硝子越しの空は抜けるように青くって美味しそうな白い雲なんかあったりして。
で、机の上に美味しい朝食なんてのってたりしたら、もう至福って言ってもいいと思うんだ。
大きめのマグにたっぷりのコーヒー。勿論メイプルシロップがたっぷり入ってる。ちょっとどっしりとしたパンケーキ。チーズと混ぜ合わせたマッシュポテトが添えてあったりなんかして、それにちっちゃなほかほかとろーりのチーズオムレットと、やっぱりメイプルシロップ!
ああ、素敵な朝だなぁ。幸せな朝だなぁって、ダイニングのスツールでぼんやり、してるところに。

ぱたぱたぱたぱた、かちかちかちかち。

それはもふもふっとしたしっぽをぶんぶん振る音、太く立派な四肢についた爪がフローリングを引っかく音、バサッと軽いものを落とす音、それから。

「うわっ!?」

もふん!と膝上、っていうか腹の上にダイビングしてきた彼を、僕はスツールの背もたれを軋ませながらどうにかこうにか受け止めた。ちょっと、君ね‥‥。いや、懐いてくれるのは嬉しいんだけどね?もうちょっとこう、自分の体格を考慮して‥‥。

ぱたぱたぱたぱた、ぶんぶんぶんぶん。

「‥‥‥‥可愛いからいっか」

ふわふわもこもこの毛で擦り寄って(ああ、昨日水浴びさせてあげたからふわふわだ!)くる彼の姿にぽつりと呟けば、ピクンとやっぱりもこもこの耳を震わせてから、僕の唇をぺろぺろ舐めてきた。あは、くすぐったいよ。可愛いからいいけど。

「おはよう、フレッド」

そう朝の挨拶をすれば、まるで俺も俺も!っていう感じでますますぺろぺろと僕の顔へと、彼のせいいっぱいの挨拶をくれた。
スツールに掛けてる僕の膝上に、後ろ肢で爪先立つようにして乗っかってきてるこの子はアルフレッド。いつもはフレッドって呼んでる彼は、僕の大切な大切な、家族だ。
がっしりと立派な体格、すっごく綺麗なハニーゴールドの毛並み。真っ青な目なんて本物の空より澄んでて綺麗!とってもとっても、かっこいいんだよ。

‥‥うん、かっこいいんだけどねぇ‥‥。

「あー‥‥」

一頻り僕に挨拶を済ませた彼が、まるでそこで思い出した!みたいな顔を(これ毎日なんだよね‥‥)して、焦った調子で辺りをきょろきょろっと見回して(これもいつものこと)、僕の膝から降りて彼が僕に向かってダイブしてくる前に取り落としたソレへと、一直線に駆けていった。
それから、ぐわっと。
‥‥グワッと、口にくわえて‥‥ああ、いや、噛み心地がいいのは解るんだけど、あああっ、ちょ、フレッドそれじゃ‥‥!

かちかちかちかち、ぱたぱたぱたぱた。

一頻り噛み心地に夢中になった後、またそこで気づいた!みたいな顔を(これも毎n以下略)したフレッドがソレを口元に携えて僕のところへと運んできてくれる。刷りたてのインクの匂い、薄い灰色の紙束。‥‥薄いはずの灰色は、フレッドの唾液と噛み痕で濃い灰色になっちゃってるけど。

「‥‥ああ」

膝元に、ぺそりと置かれるそれは、うん。
彼が毎朝毎日、僕の代わりに郵便受けへと走っては、誇らしげに取ってきてくれる、ニュースペーパー。
‥‥の、残骸。

「フレッドぉ‥‥」

僕は膝上に置かれた、もう一面の見出しさえ読めない新聞ぽいものと、今はいい子に足元に座って真っ青なつぶらな瞳で僕のほうを見上げてくる彼を、交互に見遣って。

ぱたぱたぱたぱた、ぶんぶんぶんぶん。

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥可愛いから、いっか」

そう呟いてから頭を撫でてあげれば、もう全身で喜んで僕の膝に懐いてくる彼に、僕ははふぅっと息をついてから、笑っちゃったものさ。
だってこれは彼の、僕への純然たる好意。役に立ちたいって、全身で頑張ってくれる彼の、最大級の愛情だもの。

窓の外は爽やかな朝。
目の前には素敵な朝食。
そして足元には僕を好いてくれる彼。




「ありがとう、フレッド」




たとえそれで新聞が読めなくたって、嬉しくないはず、ない!




「‥‥なんだ、また甘やかしてるのか。‥‥フレッド、伏せ」

静かな命令に、僕の膝にじゃれ付いていた(ちょっと痛い、痛いよフレッド!)大きな身体がピクリと揺れたと思ったら、渋々、けれどきちんと大きな身体を床に伏せた。と、同時にコトリとテーブルに置かれるミニプレートの音に重ねて響いた低く落ち着いた声。

「あぅ、ち、違いますッ」

僕はちょっと目を逸らしつつも頑張って反論もする。‥‥ううう、違うもん甘やかしてるんじゃないもんだってフレッドが可愛いから!可愛いは正義って、フランシスさんが前言ってたよ!
‥‥っていったら、またお前は、みたいな顔をされるだろうから言わないでおくけど。だって、あのすっごく深い青の瞳で呆れたように言われちゃったら、もう次からポーズだけでも反論できなくなっちゃうよ!
だから僕はそれ以上はなにも言わないまま、そろりと視線を逸らした先のテーブルに、今度はポーズじゃなくって歓声をあげた。

「あ、ザッハトルテだぁ!」
「む‥‥その、ローデリヒに昨日持たされたのを、だな」
「ありがとう!」

低い声で何故だか言い訳めいた口調で言葉を重ねるひとの言葉に被せて、僕はお礼を言った。しかもローデリヒさんのトルテ!いつもいつもこの人の家に遊びに行くたび、なんでか出てくるローデリヒさんのお菓子、すっごく美味しいんだよね!しかも時々は生ピアノ演奏つきなんて、どこのサロンだいってものさ。
‥‥まぁ、ちょっと妬かないこともないけど、さ。でもほら、ローデリヒさん、このひとのお家のお隣さんだもの。僕にだって良くしてくれるし。‥‥僕のとこなんて、アーサーさんがそりゃ隣といえば隣りだけれど間には海があるっていうのに食物兵器‥‥じゃない、お菓子送ってきてくれるくらいだし、きっとお隣り付き合いがローデリヒさんもアーサーさんも大好きなんだよね、うん、多分。

「‥‥シュゥ、マシュー?」
「っ、え?‥‥あ、はい?!」

ふと、肩を包み込むみたいな暖かな温度に、僕は慌ててぼんやりしていた意識を現実にもどした。いつでもどこでもぼんやりするのは僕の悪いクセだ。 直さないとって、思ってはいるんだけどなぁ‥‥。
けれど今目の前にいる彼は特に怒った様子もなく。
何故だか、どこか困ったみたいな、気まずそうな、そんな表情で彼が準備してくれた朝食を睨みつけてたりして。

肩に触れてる、硬い手のひらが温かい。
寝起きのまま整えていない金髪だとか、矢車草の色をした瞳。
おなかに響いてくるような低い声。‥‥メイプルシロップよりも甘い、其れ。




「その‥‥まだ、疲れているのか。昨日は縛って、無理な体勢をさせてし‥‥」
「わーわーわー!!!」




僕の慌てた声に、床にいい子に伏せてたフレッドが何事?!みたいに身体を起こしちゃったんだけど、僕だってそれどころじゃなくって!!

‥‥ッああもう、このひと朝から何を言い出すかと思えば‥‥ッ!

「ななななに言い出すんですか朝からー!」
「いや、昨日は俺も加減が効かなくて‥‥な、一応、痕は残らない結び方にした記憶はあるんだが」
「めいぷる!!!」

だから!!朝からそういう話題出さないでってばぁ!!
僕もかなり慌てたせいで遮る言葉がとんでもなく面白かった自覚はあるけど、もうそれ以上に、なんていうか、‥‥ああもう、爽やかな朝なのに。

‥‥ああ、うん。でも。

窓の外は爽やかな朝。
目の前には素敵な朝食。
足元には僕を好いてれて、僕の声にどうしたの?って心配してくれる、大切な家族。

それから。

「まぁ‥‥その、何だ。今夜はもっと、優しくするから」




僕の為の素敵な朝食を用意してくれて、低く甘いセクシャルな声で、朝っぱらから可愛いんだかカッコイイんだかSなんだかわかんないことを言ってくれる、素敵な恋人!




ちゅ、って啄ばむだけのキスをくれた彼は、僕の足元でオロオロしていたフレッドについてくるよう身振りだけで(さすが本職のトレーナーっていうか、あの気ままなフレッドがちゃんと従ってる!)示し、彼のための朝食を準備するべくキッチンへと行ってしまった。
‥‥うん、普段は勿論フレッドのごはん作りは僕の仕事なんだけど、今日はその、身体もちょっとだけ、痛いしさ。いやでもあの縛り方って結構気持ち良か‥‥って、あああもう、朝から何を考えてるんだ僕は!

脳内にフラッシュバックした昨夜の記憶を僕はブンブン頭を振って、とりあえず記憶から追い出して!
それから、膝の上にぺそりと家族が置いてくれたニュースペーパーの残骸を、苦笑しながら取り上げて。‥‥ああ、いつか彼がちゃんと原型を保ったまま持ってきてくれるようになったなら、嬉しくって泣いてしまうかもしれない!
でも、これでも嬉しいんだよ。
嬉しいんだ、君の好意が。僕の大切な家族。

「ありがとう、フレッド」

呟いた僕の言葉は、キッチンにてたっぷりごはんを食べてる彼の耳にはきっと届いていないだろうけれど。ありがとう、大好きだよ。

「‥‥?どうした、マシュー」
「えへへぇ」

キッチンから、まだ整えていないサラサラのプラチナブロンドをかきあげながら戻ってきた恋人に、僕はへにゃりと我ながら締まらない笑みを向けたものさ。
椅子を引きながら深い深い青の瞳をきょとんと不思議そうに瞬かせた彼は、とりあえず何も言わずにパンケーキにマッシュポテトを挟むべく、スプーンを持った手を伸ばしたのだけれど。

「愛してます、ルートさん」

呟いた僕の言葉は、僕の向かいでカシャンとスプーンもパンケーキも取り落としてフリーズしちゃった彼の耳にはちゃんと届いたみたいだから。
僕は笑ってフランシスさん仕込みの投げキスをプレゼントしたあと、彼の作ってくれた心づくしの朝食に、手を伸ばしたのだった。








窓の外は爽やかな朝。
目の前には素敵な朝食。
キッチンでごはんを食べてる大切な家族。

「‥‥マシュー」

低くて甘い声で僕を呼ぶ、素敵すぎる僕の恋人。









彼の美味しい朝食の前に、彼の激しいキスを頂戴するはめになったわけだけど。
うん、まぁ、それも素敵で幸せな朝の、ワンシーンってことで。









 或いは幸せということ





the end.(2009.06.27)

行くぜ独加祭り!(・∀・)
ネタ提供してくださったシキ様、藤原様に捧げます(´∀`)