「フィッシュアンドチップスって、あるじゃないですか」
「うん、あるね」
「つまり、魚とポテトですよね」
「そうだね、魚とポテトだ」
「フィッシュアンドチップス。僕の家でもわりとごく当たり前にでてきます」
「ごめんねお兄さんがあんなメシマズ国家に手渡しちゃったばっかりに」
「意外に美味しいですよねあれ、僕は好きです」
「あああごめんねごめんねお兄さんが悪かったよ」
「タラもいいけどカレイが好きかな、ポテトはこう、どばっとあるのが」
「せめてビネガーはお兄さんが手ずから作ってあげるからおうちでは其れ使ってね」
「うん、美味しいんです」
「そっか、食べ過ぎに注意しようね、いやお前がいくら太ったとしてもお兄さんの愛は欠片も揺らがないけれど」
「フィッシュアンドチップス‥‥」
「そうだね、フィッシュアンドチップスだ」
「なんでフィッシュアンドチップスはフィッシュアンドチップスなんでしょうかね?」
「キャピュレット家のご令嬢の台詞みたいだよ、まぁ俺がロメオなら直ぐにお前攫って逃げちゃうけどね主にベッドの中に」
「だってフィッシュとポテトを同列で並べるんですよ?魚とジャガイモ。生まれも育ちも違う文字どおり海のものと山のものを一緒の皿に並べるなんて」
「料理って言うのはえてしてそういうものだよ、カレイのフライの付け合わせがカレイの煮付けじゃちょっと味が濃いよね」
「大体フィッシュアンドチップスって、もう生まれたときからセットみたいな言われ方ってどうなんですか。フィッシュにはフィッシュのプライドがあるじゃないですか、ポテトはフィッシュの必ず後でアンドチップスじゃないといけないんですか?三歩下がって三つ指つかないと駄目なんですか?」
「まぁ、チップスアンドフィッシュでもいいとは思うけど。日加修好80周年記念行事続きで日本が大好きなのはわかったよ、まぁお兄さんは隣に並んで歩きたいけど」
「セットって、まるで僕とアメリカとか、フランスさんとイギリスさんみたいな言い方じゃないですか」
「俺とメシマズ国家がセットなのは勘弁だけど、お前達きょうだいがセットで並んでるのはかわいくってお兄さんハァハァしちゃうくらい好きだけどね。いや押し倒したいハァハァはお前だけだからね?」
「フランスさんにとって僕はフィッシュですかポテトですか」
「いや、カナはカナだよ?」
「僕はフィッシュのほうが好きです」
「ああならお兄さんフィッシュのほうで」
「でもロブスターのほうがいい‥‥」
「いやそれメニュー違うよね?フィッシュアンドチップスどこいったの」
「どこにも行きません。フィッシュアンドチップスで、僕とアメリカで、フランスさんとイギリスさんなんです」
「俺とカナのセットじゃ駄目なの?」
「フランスさんさっきフィッシュのほうがいいって言ったじゃないですか、僕よりおさかなのほうがいいんだ‥‥」
「カナのほうがいいよもう今すぐにでも食べちゃいたいくらい」
「僕はロブスターが食べたいです‥‥」
「ああうん、それじゃ明日の夕飯はロブスターにしてあげるから。ボイルドがいい?クリームソース掛け?」
「クリームソース‥‥」
「わかった、それじゃ明日はカナに美味しいクリームソース掛けロブスター食べさせてあげるからね、今日はお兄さんのホワイトソースをお前にたっぷり掛けさせてね。うん、だからそのバーボン入りのショットグラス放してね?‥‥そうそう、上手だね、うんお兄さんのことは放さなくてもいいからそのまま掴まっといて」




「さ、俺の部屋においで。たっぷり美味しく気持ちよく料理してあげる」









title/『カナダさんは酔っ払っています』

よっぱらーの前後が繋がらない話にうんうんと頷いて
最終的には好いようにお持ち帰りする兄ちゃんはとても兄ちゃんだと思うわけです