「フランス」
「‥‥ん?なぁにどうしたの、アメリカ」
おまじないを、ときどきやってる。
‥‥いや、おまじないはないか。いい歳してイギリスじゃあるまいしあんまりにファンシー過ぎる言葉だった、訂正する。ああ、うんだから‥‥そうだな、『賭け』、かな?そう、賭けだ。ときどき、賭けをする。ちょっとした、ね。
ああ、断わっておくけれど本義的な、厳格に言葉どおりの a gamble、『賭け』じゃないよ。どちらかといえば bet ‥‥ああ、もうどうでもいいや。
日々やれ発音がなってないだの、アクセントがどうだのと煩い元兄じゃあるまいし、言葉、言語って言うのはもっとフリーダムでなきゃ楽しくないからね!
だから、そう、ごく軽い意味での『賭け』さ。
例えば今日が晴れだったら、朝ごはんはマックにする(雨だったらドーナツさ)。
例えばカナダに送ったメールが1日以内に返ってきたら、秘書と上司のお小言も7分間は真面目に聞く(いつもは5分が限界だ!)。
ほらね、他愛もないことばかりだろう?
勿論口に出したりなんてしないから、どれもこれも自分の中で完結することばかり。
けれどこれが意外に、ね。
役に立つ、とは違うんだけれど、それなりに、効果はある。
マックかドーナツかなんて、ごく他愛の無いことで選択をするときとか。
のんびり屋の兄弟が頑張ってメール打ってくれたんだから、ちょっとくらい俺も頑張って上司のお小言をきこうかな、とか。
そう、ちょっとした踏ん切りをつけるって言うのかな?
だってこれは、賭けなんだから。
他愛のない、ごく軽いものであれ、俺は賭けたんだから。
そうとも、誰に口にするわけでもない賭けさ。けれど自分に賭したなら、守らなくちゃならない。果たされなければならない。何故って、俺は正義と公平を旨とするヒーローだからね。
賭けは制約となり、誓約となる。
だから。
「だから今日君が振り返ったら君のことが好きだぞって言うことに決めていたんだ」
‥‥ああ、因みにこの『賭け』にはあんまり勝ち負けって言うのはないんだけれど(だってマックもドーナツもどっちも好きだし上司のお小言はどっちにしたって聴かざるを得ない)。
けれどまぁ、今回に限っては、勝った、って言ってもいいのかもしれないね。
「お兄さんの恋心の全てを賭けてお前を愛してあげる」
なんだか重いものを賭け返された気もしたけれど、大丈夫さ。
だって俺はヒーローだからね!重いものなんて平気なんだぞ!
(俺の愛のほうが重いだなんて、そうだね、どんな賭けをして、彼に明かしてあげようか。)
title/『リリカルギャンブラー』
仏米はリリカル。