※カナちゃんがナチュラルに女の子です。もち3匹を飼っています。
※もちカナちゃん(おにゃのこ)だけ、イギお母様に引き取られました。











「じゅてーむー。むー。」
「まゆ、まゆ」

ぽよぽよと、白いまるんとしたものがテーブルの上で2つ、揺れている。
大きさは俺の拳より少し大きいくらい。手のひらに乗せると、俺の手だと片手ですっぽり収まるが、彼女の手だと少し余るので、両手のひらで抱えるように乗せるか、もしくは胸元に抱き締めて、移動している。
うらやましいだなんて、思ってないぞ、思ってないんだからな!
だいだいぷるぷるの生き物(?)を、ぷるっぷるのおっぱいに抱き締めるだなんてぷるっぷるの二乗でプリンキピアが‥‥っ

‥‥いや、うん。取り乱してなんかないぞ。うん。気にしないでくれ。

「しるぶぷれー‥‥っ、むっ!」
「まゆっ」

ひとつがほよよん、と跳ねた。
ああ見えて、跳躍力は結構ある。
俺が見知っているのは4匹(‥‥匹、でいいのだろうか)だけど、普段からそれぞれぽよぽよと跳ねて移動してるみたいだし。もっとも、やっぱり得手不得手っていうのはあるらしく、ものすごーく跳躍するのがいるかと思えば、たまに失敗してころころろんと転がったり、着地音がべしょ、だったり(つまりは失敗しているのだろう、あれは)するみたいだ。まぁ、個体差だろうね。

「むっむー。じゅってーむー。しるぷぶ‥‥ッ、むー。」
「‥‥まゆ。」

‥‥あの、たまに鳴き声(?)を噛んでは誤魔化す個体は、うん、まぁ見知った髭のおっさんに良く似てるんだけれど、やっぱり、彼本体とは少し違う部分もある。誤魔化すあたりの見栄っ張り加減は似てると思うけれどね。あれで結構、アクティブだ。今もほら、ほよよん、と跳んで、彼女が彼らの夜食にと用意しておいたキャベツの乗った平皿に飛び移ったし。
もしょもしょと食べ始める、慎重にメイプルシロップの掛かった場所を避けているのは、‥‥まぁ、普通に考えてキャベツにメイプルシロップはない、っていうごく真っ当な味覚からだろう。
案外本体(?)の彼は、食に大して意外なほどにチャレンジャーだから(俺に対して味覚がどうのこうの言っているけれど、カタツムリを食べてみようだなんて遠い昔に思い立って本当に食べてしまった彼に言われたくない!)、キャベツのメイプルシロップ掛けも食べるかもな。や、食べるかなぁ‥‥。ああ、食べるだろう。
可愛い可愛い娘に『フランシスさん、シロップ掛けたら美味しいですよ』なんて言われでもしたら、すぐにでも。

「じゅてーむー。むー。」
「まゆ」

一方、その平皿の下でまゆまゆ鳴いているのは、どう見ても『彼』だろう。
‥‥鳴き声が個性的過ぎるよ。
そして、この『彼』似のまるっぽいのもまた、彼なようで彼ではない。意外なほどに、大人しいのだ。‥‥いや、本体の『彼』が騒がしいというわけじゃないぞ?まぁ、酒が入れば別だけれど。そうじゃなくて、普段から意外なほどに、このまゆまゆ鳴くほうは、おとなしやかなようだ。
今もほら、おいしそうに(あんな毎日毎日緑の葉っぱで飽きないのだろうか)キャベツを食べてる片方を尻目に、机の上でときどきぽよぽよ身体を揺するくらいで、おとなしくしてる。ううん、あれくらいおとなしい個体だと、俺でも飼えるかなぁ?いやでも眉毛はなぁ‥‥って、あ。

「まゆー。まゆ、ま‥‥、ぅ?」
「むっ?!」

‥‥。いや、やっぱり無理。無理だよ。ていうか似てないとか嘘だよやっぱり『彼』だ間違いないよ。
本体の彼は、普段取り澄まして紅茶なんか飲んでる。(どうでもいいけど、彼女や日本が遊びにいったときはきっちり葉から淹れるくせ、俺に対してはティーバッグで淹れるのはひどい扱いだと思う。酷い扱いついでに茶菓子も出さなければいいのにスコーンだけはサービスしてくれるのはやっぱり嫌がらせなのだろうか。)つまりは、紅茶が好きなんだ。
で、どうやらこの白いまるっこい『彼』も、紅茶が好きらしい。
それは別にいいよ。彼らの主食はどの個体もキャベツみたいだけれど、それ以外も食べてるのもいるって、彼女がいってたし。
で、彼は紅茶が好きだって。(なんとこのまるっこい生物の為、彼女は愛らしいティーカップまで特注で買ってしまった!)(しかも彼女とお揃いで!)
や、だから、それは別にいいんだけれど。
きみ、いくらなんでもそれはさぁ‥‥。




「アルぅ、バスルームあいたよー、次どうぞ‥‥って、まゆちゃん?!」
「むっむっ!し、しるぶぷれーっ!」
「あ、マシュー。‥‥って、ちょっとキミ!!」




いくつかの声が重なった。
それは、とてもとても甘い響きの、俺の可愛い可愛い恋人‥‥では、まだ!なくて、きょうだいの少し慌てた声と、ときどき鳴き声を噛んでる個体の、慌てきった鳴き声と。
それから俺の、恥ずかしいことにひっくり返った声と。

「ちょ、まゆちゃんしっかり!どうしたの、紅茶カップに落ちちゃったの?!」
「じゅ、じゅてーむっ、む!!しるぷぶ‥‥っ!」
「ああ、ひげちゃん大丈夫だからねっ?!お、落ち着いてしゃべってね噛んじゃうからね、ああ、ま、まゆちゃん、まゆちゃん?!」
「‥‥ま、ゆん。」
「ちょ、まままま、マシュー!!」

‥‥騒然ていうのは、きっとこういう状況を言うんだろうね。
彼女、マシューとその、彼女が「ひげちゃん」(なんてそのまんまなんだい‥‥)と呼んでる個体の慌てきった声と、ミルクティ‥‥じゃなくて、あの匂いはメイプルシロップティか、ともかくそのカップからマシューの白い指でつまみ上げられてぷるぷるしている「まゆちゃん」(‥‥そのまんま過ぎる)と、そして俺と。

まぁ、俺だけは、違う理由で慌てていたわけだけど!!

「アルっ!もうッ、そこにいるならなんでまゆちゃん助けてくれないのよ、ばかぁ!」

手のひらにメイプルティに溺れかけていた白っぽい‥‥いや、メイプルティ色のぷるぷるしたものを乗せたマシューが、涙目で俺に詰め寄ってくる。

「マシュー!キミは一体何度言ったらわかるんだいっ、お風呂から上がったら、ちゃんと、服を着てくれよっ!!」

そして俺は涙目で、よりにもよってここ数百年片想いしっぱなしの相手の、バスタオル一枚の姿から目を逸ら‥‥すわけないだろ、ばかぁ!!

「アルに見られたって減るもんじゃないよ!‥‥あっ、そ、それよりまゆちゃん?まゆちゃん大丈夫?」

‥‥うん。虚しすぎる。
そうだろうとも、減りはしないよね俺におっぱい見られたくらいじゃね?!いやそのおっぱいもかろうじてバスタオルの下だけど、いや先っぽの形とかくっきりはっきり見えちゃってるんだけど、あ、色とか‥‥いやいや、いや!何を考えてる俺!?ああ、マシューのおっぱいのことだよな、ハハハ!!!
‥‥‥‥‥‥。虚しい。

まぁ、つまりは彼女にとって、俺は「アルフレッド」で、男じゃないってことなんだよ、ね。いや、解ってるよ解ってたさ。そして、そんな涙目の(でも彼女は凝視するよ!するとも!!)俺よりも、その、メイプルシロップティまみれの、ぽよぽよした生き物のほうが大事だって事もね!

「‥‥まゆ。まゆー。」
「ああっ、大丈夫だったんだね、よかったぁ‥‥!」
「じゅてーむー‥‥。」

しばらくぷるぷると震えて無言だった彼だけど、すぐに気がついて再びまゆまゆ鳴くようになった。当たり前だ、彼が『彼』なら、紅茶で溺れるだなんてないだろう。‥‥そもそもその、まゆまゆ鳴いてるソレだって、単純に好き過ぎて飛び込んだだけじゃないのかい?『彼』も突拍子もないところがあるからね、きっとソレもそうなんだよ。
‥‥まぁ、マシューはその、『彼』の突拍子もない部分は綺麗に隠されてるところがあるしね‥‥。いや、あの人がどうやったら王子様に見えるのか、未だに不思議でならないよ。マシュー、キミめがねあってないんじゃないのかい?

まぁ、そんな埒もないことを思いつつ、俺はとりあえず、着ていたシャツを脱いで、バスタオル一枚で座り込んでいるマシューの肩へと、掛けてあげた。
涙目のマシューが、俺を見上げてくる。‥‥ああ、可愛いなぁ。
可愛いから、仕方がないんだぞ、もう。

「‥‥ほら。彼を助けなかったのは謝るよ。ちょっとメイプルティが好き過ぎるだけだと思ったんだ。それより、キミ、そんな格好じゃ風邪を引いてしまうよ。その生き物の世話も心配も構わないけど、君自身が俺は心配だよ。ちゃんと、服は着ておくれよ」
「アルぅ‥‥」

うるうるとした目で俺を見上げてくるマシューを、俺は背後に立って眺め降ろした。‥‥すんごい谷間だ。ああアレに挟まれたい、挟まれてふにふにっと、まふまふっと、ああんらめぇあるもっとぉ‥‥って、




ん?




「‥‥えっと、マシュー?」
「え?なに、アル」
「『俺』は、どこだい?」
「へ?、え、私の後ろに、いるよ、ね?」
「そうじゃなくて!!‥‥『俺』似の!ふにふにした例の生き物だよ!!キミと一緒に、お風呂に入ってただろう?!」
「あ、ああメリちゃんなら、ほら、ここ。」
「‥‥みっ!」




ふにふに。むにゅ。




「‥‥ッ!!!!!」
「あんッ、やだメリちゃん、くすぐったいよぉ」
「みっみっ、みーぃ。」
「なぁに、胸の間あったかいの?甘えたさんだなぁメリちゃんは」
「みっ!」

‥‥‥‥甘えたさん。そうか、甘えたなのか。




甘えただったら、マシューのおっぱいに挟まって、むにむにできるのか‥‥っ?!




「『俺』の分際で‥‥ッ!!!」
「みっみー。」

アーサーもフランシスも微妙に違う性格なのに、お前だけは俺の願望そのまんまだな!!!‥‥でっ、おっぱいの感触とか色とかどうだったかな俺に詳しく教えろ今すぐッ!!!

「ああ、まゆちゃん、大丈夫なんだね?よかったぁ。もう、今度から気をつけるんだよ?」
「まゆ。」
「じゅてーむー。」
「ほらぁ、ひげちゃんも心配してるし」
「まゆ、まゆ。」
「ふふ、いいよ今度は私がちゃんと飲ませてあげるからね?‥‥ふぁ、もう眠いねぇ、みんな寝よっかぁ。‥‥アルー、メリちゃん?‥‥あれ、なんだか仲良しだね、二人。めずらしいの‥‥。まぁいっか。まゆちゃん、ひげちゃん、今日は一緒に寝ようね」
「じゅてーむー。」
「まゆ。」
「うふふ、まゆちゃんいい匂いだね。ぎゅってしていい?」
「まゆ。」

俺は暫くの間、彼女が他二匹をおっぱいにぎゅっと抱きかかえて寝室へと向かったのにも気がつかず、「みっみー♪」としか鳴かないわりに何故かコミュニケーションできる俺っぽい白いぷるぷると、語り合っていた。

「‥‥なぁ、ちょっとお前、揉んでもいいかい?」
「みっみっ!みぃ!!」

ついでに悲鳴を上げてソレが逃げるまで(彼女のベッドルームに!)、ふにふにふにふに揉んでみた。
翌日しこたまマシューに怒られた。




「‥‥くそ、いつか俺だって、おっぱいに挟まれてみせるんだぞ!」




自分で決意表明してちょっと虚しくなったけど、負けないんだぞ。
あと白いぷるぷる3匹に可哀想な目で見られて、更に虚しくなったけど、俺は負けないんだぞ。負けないったら!‥‥泣いてないったら!ああもう!!









the end.

因みにイギお母様がもちカナちゃんを引き取っていった理由。

「やだぁ、アーサーさん、その子も私が飼いたいです」
「みぃ。」
「‥‥ああ、いい子だな二人とも。でも、コイツは俺が持って帰るから」
「でも、」
「マシュー。‥‥これはお前によく似てるな。とても可愛いし、ふかふかでふにふにと、愛らしい」
「え?あ、えっとありがとう、ございます?」
「触り心地も良くてぷるっぷるだ。おっとりとしてるし、ふわふわだ」
「はぁ」
「だからだ」
「はぁ?」
「‥‥まぁ、なんだ。アメリカを惑わすな」
「あの、意味がよくわかんないんですけど」
「解らないなら解らないままでいい。‥‥この子は、俺に預からせてくれ。な?」

お母様としては、メリカの元兄として、弟がリアルおっぱい以外でハァハァする可能性を、とりあえず消しときたかったそうです。
いや、可哀想だしね‥‥。
もちがってより、メリカがね‥‥。