寝台の上を転がりながら、一頻り可愛いヴェストの回想(?)にニヨニヨしつくした俺は、漸く起きる気になって身体を起こした。床に足を下ろしかけ、そこで不意にサイドボードの冷たい相棒に気がつく。
静かに佇むそれへと、そっと手を伸ばす。小さく冷えた刃。それを枕の下へと戻そうとして、少しだけ躊躇った。
つっても、別にシリアスな其れじゃなくて。

「‥‥‥‥寝たとき、『寝心地が悪い』とか言われたらヤだしなー‥‥」

枕の下に置いた得物の感触など沼地での休息や野営に較べればどうというほどもないが、あの弟は意外に品良く大事に育てたので、その辺もしかしたらうるさいかもしれない。シーツの下の針一本に眠れない、なんて繊細さはないだろうけれど。

「んー‥‥?」

あれ、そもそもヤるときって枕いるか?あ、終わって寝るときは使うよな。あー、腕枕とかしてやりてーなー、俺が。ヴェスト抱いて眠りてー‥‥。

と、そこへ凄まじい足音を立てて、先ほど出て行った弟が戻ってきた。

「だから起きろと言っているんだーッ!!タマゴが冷える!!」
「よー、ヴェストー。お前ナイフ使ったSMプレイとかする?するんならまた枕の下置いとくけど」

‥‥この後唐突に開始した白兵戦闘訓練のせいで、スクランブルエッグが無残に冷えてしまったわけだが、それは俺のせいじゃない。‥‥と、思う。多分。









「‥‥で?する?俺わりと痛いのへーきだぜ」
「‥‥‥‥‥‥‥‥俺はどちらかというと、その‥‥縄とか、鞭とか」
「そか、なら用意しといてやるぜーお兄様にまかせとけ!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」









ついでに、後日談。あ、SMじゃなくてだな。
俺のベッドは寝心地は悪いとは言われなかった。
が、俺の抱き心地が悪いからもっと太ってくれとせがまれた。
翌朝のスクランブルエッグに砂糖を大量投入して報復してやった。勿論俺の卵料理は、普通味だ。

「食うよな?お兄様のお料理、食うだろ」

もの凄く微妙な顔をしつつも激甘スクランブルエッグを食べきったヴェストと交わしたキスは、熱くて甘かった。

あの熱は、あれでなかなか、いい気もした。









悪友三人に「〜に任せて!」系の台詞を言わせ隊。

「はいはい、後はお兄さんに任せなさいね?」
「うんうん、親分に任せときやー。な?」
「おう、俺様(お兄様)に任せとけ!!」

お料理頼むなら兄ちゃんで、おまじないと喧嘩頼むなら親分で、わりとどうでもいいこと頼むならプーちゃん。
最後の酷ェ(笑)