「ねぇ、フランシスさん。‥‥あの子は、どうなったの?事故の、あのときの」
「‥‥すこし、腕に後遺症が残ったけれど、助かったよ。今は元気に、してる」
「そう。‥‥お父さんは?それに、あの子のお母さん、妊娠してた」
「大丈夫、無事に生まれたよ。父親も、無事だ」
「よかった。お父さんとお母さんがいるのって、いいよね。寂しいもの」
「‥‥うん」
「僕には、アーサーもアルも、貴方も居たからちっとも寂しくなかったけれどね?」
「うん」
「アルフレッドは、元気かな。暫く、会えないままだった。たしかあの日は、どこだかの遺跡に居たんだっけ?」
「元気だよ、今も世界中飛び回ってるよ。相変わらずさ、アイツは」
仄かにあかるい廊下に、時間の交錯した奇妙な会話が流れる。
死んだ青年は愛しい愛しい恋人に抱かれ、そして生者の世界にとり残された男は、かつて愛し抜いた愛しい恋人であった青年を、大切に抱く。
「‥‥アーサーは?」
「‥‥‥‥俺の傍に、居るよ」
‥‥今、愛しい恋人の、死んでしまった弟を。大切に、抱き締める。
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